例えば、4分の4拍子において、付点八分音符と十六分音符のリズムを理解しようと、拍子のカウント以外に、最小音符の十六分音符を単位にリズムパターンを分割して「タツツタ」とやる人がいます。これは、それぞれの「音」がどのように割り付けられるかの一つの分析方法で、「理解」の助けにはなります。
たしかに、「理解できた」ということが、とりあえずはリズムパターンに相当する位置に「音」を出すことができるような気にさせてくれます。「やった!これでよし!」と思いがちです。しかし、テンポによっては有効でしょうが、実際には忙しくて、そこでカウントやテンポにのらなかったり、大変に不自然なことになります。ご本人も到底歌っている意識などもてません。必死に「音」を時間にあてがっただけであって、「リズムを歌っている」とはいえません。
想像してみてください、歌っている人が、いちいちこのリズムがきたところで、ラーラー(突然)「タツツタ」そしてラー・・とやるでしょうか。仮にそうしたとします。どうですか、真似してやってみてください。カウントが止まってしまったり、そこだけテンポが乱れたり、かえって難しいことになってしまいます。そしてなによりそこだけがいかに歌われていないか、歌になっていないかがよく分りますね。
つまり、カウントに関連する「音」配置が明確に理解できたら、次にそれをやはりカウントを打ちながらごく自然に「歌える」ようにトレーニングをする必要があります。理解するための分析方法そのままに唱えるのではありません。歌うのです、否「歌え!」。この点は、ギターやマンドリンのように演奏に息を使わない楽器(と思っているのがそもそも間違いなのです。)の方は特に注意してください。たとえ直接楽器音を発するのに息を使わない楽器の方でも「歌う」と息を使うことになるのです。
それが「リズム唱」なのです。さあ、うまくできるまで何度でもやってみてくださいね。