しかし、それらの記号が付けられたのは、作者(作曲、編曲者)が歌ったとおり再現して欲しいためなのです。
だから、再現者(演奏者)は、それらの記号が付いていたら、そのフレーズが作者の希望としてどのように歌われるのかを、自分でも歌わなければなりません。
フレーズとは、メロディーだけでなく、ある種のリズムパターンや和音連結(終止形)、曲の構成上の意味までが含まれます。
単に音符の記号処理ではいけません。その記号がフレーズのなかでどういう存在意味をもち、フレーズのなかでどう作用をし、フレーズにどのような抑揚や表情をもたらすかを歌って理解する必要があります。
するとどうでしょう。それらの記号には単純でない様々な歌い方の可能性が存在し、気が付けば、それらの記号を無理やり処理して忙しく弾きまくる感覚でなく、必然的にそのように歌われる心地よさに到達することでしょう。