しかし、タイが付くとそれが無根拠に混乱して上手く歌えないのなら、タイで結ばれた後ろの音符(以下「後ろの音符」といいます)も階名で歌いましょう。
タイがあれば、「必ず」その両側の音符が別々に書かれています。アタリマエ!でも、ひょっとしたら合計した長さで書ける場合にもわざわざそうしていませんね。それは両方の音符、特に後ろの音符もチャンと歌えという指示なのです。
それではタイが付かない?そうでしょうか?
では試してみましょう。こうしてください。
例えば、
ギター。上のように歌い、後ろの音符を歌うとき、歌いながら右手で弾弦しないでください。ほらタイが付いた!
次に、笛(オカリナ)。同様に歌い、後ろの音符を歌うとき、心で歌いながらタンギングをしないでください。ほらタイが付いた!
マンドリン。トレモロでない奏法の時、同様に歌い、後ろの音符を歌うとき、歌いながら弾いているつもりで空振りのストロークをしてください。ほらタイが付いた!
トレモロの場合、同様に歌い、後ろの音符を歌うとき、歌いながらトレモロをその間止めずに演奏してください。ほらタイが付いた!
お気づきでしょうか?ほぼそれぞれの楽器のスラー奏法時の弾弦や、タンギングと共通であるということに。つまり、タイはスラーの一種「音高の等しい音符のスラー」と言うことなのです。スラーをタイと呼ぶのはどうかと思いますが、タイをスラーと呼ぶのは間違いとはいえないのです。たしかに、タイのこともスラーと言う音楽家の知人もいます。
スラーならば、後ろの音符は必ず歌うに決まっています。タイのときもスラー同様に歌えばよいではないですか。
ちなみに歌唱の場合、歌詞の書き方を見てください。スラーもタイも両方とも同扱いに、歌詞の子音に続く母音で後ろの音符を歌うよう「−」で指示されています。決してその音符は抜かさずに歌うのです。